2014/09/18

トリリンガルへの道


前にニュースの南部弁が全然わからないと書いた。

なんか悔しいので、 
ベトナム南部方言の教科書を読み、CDも聞いてみた。
ところが、なんかあっさりしていて、南部弁っぽくない。

これはもう「習ってみよう!」と思い立ち、
去年ひょんなことからお知り合いになった
ホーチミン出身の女性に「南部弁ちょろっと教えて」と
頼んでみた。

彼女Trangさんは、うちから自転車で数分のところに
住んでいるご近所さんなのだ。

彼女のアパートに行くと、丁度来日中のお母様と
日越ハーフの娘さんが出迎えてくれた。

南部弁の発音をアルファベットで一から習うってのも
気恥ずかしいので、普通にベトナム語で会話してみる
ことにした。多少なまっているような印象を抱くも
普通に聞き取れる♪


。。。と、思いきや、いきなりつまずく。


「大学には言葉を習いに行っていたの?」

と問われた時に

「học tiếng ホッ ティエン言葉を勉強する)」が
「học tính ホッ ティン」にしか聞こえず

(ティン?ティン?「性格」?「性質」?
性質を勉強するってどういうこと?え?性教育?
 
                        ↑おばか。

と混乱したが、冷静になると

(ティエン「言葉」のこと?そっかぁ。南部では
ティエンをティンって発音するのか~♪)

と、ほっとした。


ほっと。。。HOT。。。放っと。。。


違~う!!!放っとけん!


(もしかして南部弁って、二重母音「iê(yê) イエ」
「エ」をあいまいに発音するのでは?
ってえことは。。。
 

biết (知る)ビエッがビッ、
tiền(お金)ティエンがティン、
yêu(愛する)イエウがイウ
etc.
になるってこと!?
「iê(yê) イエ」が使われてる単語、無数にあるし!)


驚愕と恐怖の波が私を襲った。


そもそも、ベトナム語の北部弁と南部弁の違いに
対する私の認識は

1.北部弁の声調が6つあるのに対して、南部弁では
5つしかないらしい

2.一部、子音で異なる発音をするものがある
例)R→(北)ザ行、(南)ラ行
  Gi→(北)ザ行、(南)ヤ行など

3.そもそも、違う言葉を使う
例)果物→(北)hoa quả ホア クワー
        (南)trái cây チャイ カイ(トライ カイ?)

  揚げ春巻き→(北)nem rán ネム ザン
           (南)chả giò チャー ヨー



このくらいだった。
3は覚えるしかないし、1、2も聞き慣れれば
なんとかなるんじゃね?と思っていたが。。。


この甘ちゃんめ!

 
(きゃ~。ごめんなさい)

 

チャンとかファッとかティーとかそんな短い単語が
ごろごろ存在するベトナム語において、
発音が違ったら、それはもう。。。別言語。


実際、Trangさんが

「Theo ý của mình テオ イー クワ ミン
(自分の気持ち次第)」

と言った時に

「テオ イー ウア マン」としか聞こえず

ノートにつづりを書いてもらうまで
意味がわからなかった。
  
「của」の「c」はどこへ?
「mình」の「i」の発音が「イ」じゃなく「ア」に
聞こえるのはなぜ?

おまけに南部弁は声調ホーイが、声調ンガッアを
ゆるくしたみたいな発音だから、「của」なんかは

(私の知ってるあなたは。。。
一体どこへ行ってしまったのよ!
うわあああああああああああん!)


状態。 





「của クワ」の「c」の発音はどこへ行っちまったの?と
同じく、
「quen クエン(慣れる)」が「オエン」だか「オアン」に
聞こえるし、

「mình」の「i」が「イ」に聞こえないのと同じく、
「sinh シン(産む)」が「スン」みたいに聞こえるし。。。


そんでもって発音の違いに加えて

「muỗi chích ムオッイ チッ(蚊が刺す)」とか
(muỗi:蚊、chích:刺す)
※北部で「刺す」は「đốt ドッ」を使う。

「té té té テー テー テー(転ぶ、転ぶ、転ぶ)」とか
※北部で「転ぶ」は「ngã ンガッア」

言うもんだから、ほんとわからない。


でも、ベトナム人は北部だろうが、南部だろうが、
「客人はもてなすべし」という気質が強いらしく

果物にジュース、バインセオにデザートまで
ごちそうになり、

ベトナムの漬物作りには欠かせない
「波刃包丁」までお土産にいただきました。



で、本場ホーチミンのバインセオをごちそうしてくれ
ベトナムから持参した貴重な包丁をくださった
Trangさんのお母様にご挨拶したところ。。。


お母様「ニャー、ニャ、ミャ、ミャーミャ」


あれ?全然聞き取れない!!!

※Trangさんは、標準語を話すお友達が多く
お子さんにもベトナム標準語を教えているので
多少ハノイなまりがあるそうです。

つまり。。。お母様の言葉が本物の南部弁?


がびーん


先は長い。。。


結論。
ハノイ弁とホーチミン弁は別言語と思って
勉強するべし!!!

私の結論。
ハノイ弁がべらぼうに上手になってから
ホーチミン弁には着手します。。。

 
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4 件のコメント:

ホーチミン市移住者 さんのコメント...

ホーチミン市に移住した元クラスメートです。

「北部」と「南部」の違い、笑いながら読みました。まさしくその通りです。
「北部」の発音は、割とはっきりしていて聞き取りやすいです。

でも「南部」の発音は、「ニャーナヤー」していて、聞き取りにくい。
特におじさんの話は、舌たらずで歯が全部かけたような話で、「これは何語だろう。ベトナム語ではないような」感じです。

自分も「ハノイ」と「ホーチミン市」では、違う言葉を話していると思って、日本で習った「ハノイの言葉」は忘れて、「ホーチミン市の言葉」を一から勉強中です。

ホーチミン市人文大学は、北の言葉を話す先生と中部ダナン出身の先生もいて、同じテキストでも先生によって読み方も違います。

でも一番多いのは「メコンデルタ出身の先生」。この先生はバリバリの南部弁を話すので、最初は???。今は慣れて突っ込み入れられるようになりました。

pista さんのコメント...

コメントありがとうございます。
南部弁に耳が慣れてきたんですね!
あの言葉を聞き取れるなんて。。。
しかも、奥さんが南部人でベトナム語堪能な知人が
「中部とメコンデルタ方言はやばい」
って言ってましたよ!
私、思うんですけど、最初から南部弁を
勉強していたら、早い段階で
自分は挫折していたように思います。
ハノイ弁のほうがきっちりしてわかりやすいです。

匿名 さんのコメント...

初めまして。とても楽しく読ませていただきました!
(昔の話ですが)私は逆にホーチミンのメコンのご出身の先生から最初にベトナム語を学んだので、ベトナム語とは”にゃーにゃー”いうものだと思っておりました。

逆にニュースとかは、なんだか堅苦しいな~~と思っておりました。
でも確かに北部の発音の方がピシッとしていて慣れれば聞きやすいのかも。。。

中部の方の発音がどうやってもわからなくって、ベトナム語→ベトナム語の通訳が必要なこともあるくらいです。

あれだけ違う発音が分かるんだから、日本人がしゃべるたどたどしいベトナム語もわかってほしいものです。。。

pista さんのコメント...

初めまして!
ホーチミン弁がおできになるんですね!うらやましい。
ベトナム人にとって、外国人訛りのベトナム語は聞き取りづらいのかもしれませんね。私も、学校で習っていた時、韓国人や中国人のベトナム語は癖が強い。。。って思ってましたもん。
あと(ベトナム訛りの英語は英語の発音じゃない)って思ってたら、ベトナム人に「日本人の英語って変だよね」と言われました。